相続登記の申請義務化がスタートしました(2024年4月1日)

 昨日2024年4月1日から「相続登記の申請義務化」が始まりました。これまでは家や土地といった不動産を相続しても、その所有権が移転したことを登記する名義変更(相続登記)は売却や抵当権設定などの手続き上の必要がなければ任意でした。それが、期限内に名義変更をしないと10万円以下の過料を科されるようになります。義務化以前は相続した人が不要な不動産を放置して所有者不明の土地が増えていたため、社会公益の観点から対策として打ち出したものです。

 相続登記の期限は、これから相続する人なら不動産を相続で取得したことを知ってから3年以内、4月1日より前にすでに相続している人は2027年3月31日までとなります。

 相続が発生すると相続財産の確認や遺産分割協議(遺言書がない場合)、必要な人は10か月以内の相続税の申告・納付など多くの手続きが必要でしたが、そこに相続登記が加わったことになります。ところが、相続税が課税されない人は申告不要なので手続きが必要とは認識しにくく、見逃してしまうケースの可能性があります。

 相続税には「3000万円+600万円×法定相続人数」の基礎控除があるので、母と子2人が相続人で、遺産が父の残した評価額2000万の自宅とわずかな預金のみ、といったケースでは相続税は発生しないことになります。ただ、そうした場合でも「相続登記」はしなくてはならないので、注意が必要です。

 また、子供が知らないところで親が不動産を所有していたり、親戚の相続に由来する共有持分を持っていたりすることも考えられます。2026年2月2日施行予定の新制度『所有不動産記録証明制度』では、所有者の名前を検索キーにして不動産を所有していたかを全国的に調べられる制度です。この制度を活用すれば簡単に親の所有不動産が見つかる可能性が高くなります。制度の開始後は、積極的に活用して親が不動産を所有していたかを把握するように努めるといいでしょう。

 法務省は先月28日付で相続登記申請義務化に関するホームページをアップデートしています。心当たりのある方はご一読されることをお勧めします。
【ご参考リンク(法務省)「相続登記の申請義務化について」】
 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html#mokuji10

 ご不明のことがございましたら弊所でもご相談をお受けいたします。

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