遺産の分け方についてどうしても相続人間で協議が調わない場合に、最終的に家庭裁判所の判断を仰ぐという形をとることがあります。そこまでもつれるのは遺産が高額な場合が多いのでしょうか?
ヒントになるのが、過日公表された令和4年分の司法統計(*)です。司法統計は、各年ごとに刑事・民事・家事・少年など各種事件の裁判件数やその決着状況を細かく分析集計した統計です。
それによりますと、同年中に決着を見た遺産分割審判および調停案件の総数は6,857件。遺産の価額別では、1千万円以下が2,296件(33%)、1千万円超5千万円以下が2,935件(43%)、5千万円超1億円以下が802件(12%)、1億円超が573件(9%)、となっています。(それ以外に算定不能・不詳が251件(4%)あります。)
つまり、件数ベースでは全体の3/4、76%が5千万円以下の遺産についての争いになっています。しかも、裁判所による審判や調停での判断は法定相続分を強く意識した結果になることが多いので、そんなことなら弁護士を立てて裁判所に持ち込まなくてもよかった、ということにもなりかねません。
弁護士費用には成功報酬部分もありますが、たとえ少額の案件であっても一定の固定的費用は請求されますので、遺産の価額が多くなければ相対的に弁護士費用の割合が高くなって、手許に残る金額割合も少なくなります。
先ずはそうならないように、家族で予め話し合ってスムーズな相続が迎えられるようにしておくことが肝要ですね。
(*) 令和4年 司法統計年報(家事編)第52表
https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/659/012659.pdf