相続土地国庫帰属制度で2023年度の帰属は248件

相続土地国庫帰属制度が昨年(2023年)4月27日に始まりましたが、昨年度の結果が先日法務省から発表されました。
それによりますと、昨年度末、すなわち2024年3月31日現在で、
・申請件数は1,905件で、内訳は「田・畑」38%、「宅地」36%、「山林・その他」26%、
・そのうち国庫に帰属した件数は約13%の248件、でした。

一方、却下や不承認の件数は却下6件、不承認12件、また申請者による「取下げ」が212件で多くなっています。
取下げは、隣地所有者から土地の引き受けの申出があったり、途中で却下・不承認相当の土地と分かり諦めたりするケースが多いようです。

この制度の利用を検討中の方はあらためて説明資料をご一読されると良いでしょう。
当事務所でもご相談にお応えしておりますので、お気軽にお問合せ下さい。

出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」 :https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00579.html
   制度の概要はこちらhttps://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00457.html

サイトが60日を超える手形等による支払いは、行政指導の対象となります(2024年11月以降)

【概要】 
中小企業庁では、中小企業の取引適正化の重点課題の1つに「支払条件の改善」を位置づけ、業種別の下請ガイドラインや自主行動計画などを通じ、約束手形、電子記録債権、一括決済方式による下請代金支払のサイト(交付から満期日までの期間※1)の短縮を推進してきました。2024年11月以降、下請法上の運用が変更され、サイトが60日を超える約束手形や電子記録債権の交付、一括決済方式による支払は、行政指導の対象となります。
支払サイトの短縮は、下請法の適用対象とならない取引も含め、サプライチェーン全体で取り組むことが重要です。
サイトが60日を超える手形等で支払いをされている事業者の皆さんはご留意ください。

【詳細】 
中小企業庁及び公正取引委員会は、1966年以降、繊維業は90日、その他の業種は120日を超えるサイトの手形等※2を、下請法が規制する「割引困難な手形」等に該当するおそれのあるものとして指導してきました。
こうした長期の手形等が下請事業者の資金繰りの負担となっていることなどを踏まえて、中小企業庁では中小企業の取引適正化の重点課題の1つに「支払条件の改善」を位置づけ、業種別の下請ガイドラインや自主行動計画などを通じ、手形等による支払期間の短縮を推進してきたところです。令和3年3月には、下請法の運用の見直しについて、検討を行うこととしていました。
そして今般、改めて各業界の商慣行、金融情勢等を総合的に勘案して、意見公募手続を経た上で、サイトが60日を超える手形等が下請法上の「割引困難な手形」等に該当するおそれがあるものとして、公正取引委員会が指導の対象とする運用の見直しを公表しました。

※1:一括決済方式の場合は、代金の支払期日から代金債権の額に相当する金銭を金融機関に支払う期日までの期間
※2:約束手形、電子記録債権、一括決済方式

出典
 中小企業庁:https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/22516/?utm_source=202405011127&utm_medium=mm&utm_campaign=realtime
 公正取引委員会:https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/apr/240430_tegata.html

出入国在留管理局への申請をお取次ぎいたします

当事務所は、本年(2024年)4月20日から、入管法などに関する一定の手続きについて申請者ご本人あるいは受入機関(外国籍の方を雇用する事業者あるいは留学生として受け入れる学校)に代わって、各地方出入国在留管理局への手続きのお取次ぎができるようになりました。(東京出入国在留管理局長届出済み)

これにより、ご本人や受入機関の職員の方がお忙しい中で東京出入国在留管理局などに出向く機会を大きく減らすことができます。

お役に立てることがございましたら当事務所にお気軽にお問合せ下さい。

事業再構築補助金第12回の公募が開始されました

 中小企業庁は4月23日に第12回事業再構築補助金の公募を開始しました。

 昨年(令和5年)の行政事業レビューの結果を受けて見直しを行った上での今回の公募で対象要件が変更されています。

 従来からの変更点を中心にポイントをまとめると、
・公募締切:2024/7/26(金) 18時。GビズIDを用いた電子申請で受付。
・採択発表は10月下旬~11月上旬の予定。
・事前着手は原則廃止、交付決定までは可能とする経過措置あり。
・コロナ回復加速枠は、コロナ融資を受けているor再生事業者であることが要件。
となっており、全体として厳しくなっているとともに、コロナ債務を抱える事業者に加点措置(一部の申請枠については必須要件化)を講じて支援を重点化する方向性が強調されています。

詳しくは、中小企業庁の下記関連ページをご覧ください。
(中小企業庁HP)https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/2024/240423kobo.html
(公募要領)https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo.pdf

犯罪収益移転防止法改正に伴うご協力のお願い

2024年4月1日付で犯罪収益移転防止法(正式には「犯罪による収益の移転防止に関する法律」」」 )が改正され、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士が取引を行う際に依頼者様に確認すべき項目が追加されました。

対象となる業務は、以下の行為の代理または代行を行うことを内容とする契約の締結です。
 ・宅地または建物の売買に関する行為または手続
 ・会社等の設立または合併等に関する行為または手続
 ・200万円を超える現金、預金、有価証券その他の財産の管理・処分
  ※租税、罰金、過料等の納付は除く。
  ※成年後見人等裁判所または主務官庁により選任される者が職務として行う他人の財産の管理・処分は除く。
  ※任意後見契約の締結は除く。

また今後確認させていただく項目は、従来からの運転免許証等によるご本人確認に加えて、
 ・取引の目的
 ・ご本人の職業、法人の場合は事業内容
 ・法人の場合におけるその法人の実質的支配者
などです。

法律改正の趣旨へのご理解と確認へのご協力をお願いいたします。

在留資格「特定活動53号」(デジタルノマド)がスタートしました

 在留資格のうち、特定活動に関する告示が3月29日に改正され、「デジタルノマド」(特定活動53号)の運用が3月31日に始まりました。

活動内容:
 6月を超えない期間滞在して国際的なリモートワーク等を行う者。
 具体的例示としてはリモートワークを行う、IT/ソフトウェア開発、デジタルデザイナー、オンライン秘書や外国企業の事業経営を行う個人が挙げられています。
 外国企業等との雇用契約により外国企業等の事業を行うこと、または外国向けに有償の役務提供や物品の販売(本邦に入国しなければ提供又は販売等できないものを除く)をリモートワークで行うことが必要です。

在留期間:6ヶ月
 6ヶ月を超えて更新(継続延長)をすることができません。
 ただし、連続する12ヶ月の期間内で6か月を超えなければ再度申請することができます。(出国後6ヶ月経てば再申請可)

対象国:短期滞在査証免除国かつ租税条約締結国(49か国・地域)
    家族帯同:特定活動54号により可能です。本人よりも対象国籍の範囲が拡大されています。(70か国・地域)
    こちら⇒で見ることができます。 https://www.moj.go.jp/isa/content/001416527.pdf

留意事項:
  「中長期」在留者にはあたらない(同日改正の入管法施行規則19条の5)とされるため、在留カード・住民票・社会保険・年金・住民税の手続きや納付義務はありません。
 その他の要件として
 ①年収1,000万以上(申請時)
 ②民間医療保険(補償額1,000万円以上)に加入

(参考)
・出入国在留管理庁の関係ページ 「在留資格「特定活動」(デジタルノマド(国際的なリモートワーク等を目的として本邦に滞在する者)及びその配偶者・子)」
 https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities10_00001.html

「相続放棄」と「相続分の放棄」

 日常の会話では「相続放棄」と「相続分の放棄」の区別を意識せずに使うこともありますが、実は大きな違いがあります。相続人の中でこの違いに詳しい方や弁護士など専門家とやり取りするときは特に意識しておかないと、後で行き違いが生まれて揉め事に発展する可能性もあるので注意が必要です。

  「相続放棄」は、相続人が被相続人の権利義務の承継を拒否する意思表示のことをいいます。「相続放棄」は、相続が開始したことを知ってから3か月以内に、家庭裁判所に申述書を提出し、それが受理されることによって認められます。被相続人がご存命中に予め相続人となるであろう方が放棄の手続きをすることはできません。

 相続放棄すると、その方は最初から相続人でなかったことになります。相続に関するすべての権利義務から離れることになりますが、注意が必要なこともあります。たとえば、親が亡くなり子供が第一順位の相続人となって相続放棄した場合に、親の親(相続人の祖父母)がご存命であれば、祖父母が第二順位の相続人になります。また、祖父母は既に亡くなっていて親(被相続人)に兄弟姉妹がおられれば、この方々が第三順位の相続人になります。相続財産中の負債がプラスの財産を上回って相続したくない場合はこれらの相続人全員が相続放棄する必要があります。また、相続放棄するとその子や孫への代襲相続はありませんので、借金を引き継ぐことはありません。

 一方、自分の父の弟である叔父が借金を残して亡くなった場合、その叔父の子も親も相続放棄をすれば、第3順位である父に相続権が回ってきます。もし父が亡くなっていれば、自分が叔父の借金を代襲相続してしまいます。叔父の借金を引き継がないようにするには、自分も相続放棄しなければならないことを知っておきましょう。

  「相続分の放棄」は遺産についての自身の取り分を放棄することです。 相続分の放棄をする場合には特別な手続きは要求されていません。他の相続人に意思表示をして、遺産分割協議書にその旨を記載してもらい、相続分の放棄をした者も含めた相続人の全員が署名して押印すれば成立します。

 相続分の放棄を検討してもよい場合としては、以下のような状況が考えられます。
・多額の生前贈与を受け取っており、法定相続分を上回っている、
・少数の相続人に遺産を集中させたい、
・遺産分割を簡単に終わらせたいケース

 これらのケースのうち、負債はないものの、特定の相続人に遺産を相続させたい場合には、相続分の譲渡をすると良いでしょう。 相続分の譲渡をするときには、譲渡の事実を証明するために、当事者間で「相続分譲渡証明書」を作成すると良いでしょう。

相続登記の申請義務化がスタートしました(2024年4月1日)

 昨日2024年4月1日から「相続登記の申請義務化」が始まりました。これまでは家や土地といった不動産を相続しても、その所有権が移転したことを登記する名義変更(相続登記)は売却や抵当権設定などの手続き上の必要がなければ任意でした。それが、期限内に名義変更をしないと10万円以下の過料を科されるようになります。義務化以前は相続した人が不要な不動産を放置して所有者不明の土地が増えていたため、社会公益の観点から対策として打ち出したものです。

 相続登記の期限は、これから相続する人なら不動産を相続で取得したことを知ってから3年以内、4月1日より前にすでに相続している人は2027年3月31日までとなります。

 相続が発生すると相続財産の確認や遺産分割協議(遺言書がない場合)、必要な人は10か月以内の相続税の申告・納付など多くの手続きが必要でしたが、そこに相続登記が加わったことになります。ところが、相続税が課税されない人は申告不要なので手続きが必要とは認識しにくく、見逃してしまうケースの可能性があります。

 相続税には「3000万円+600万円×法定相続人数」の基礎控除があるので、母と子2人が相続人で、遺産が父の残した評価額2000万の自宅とわずかな預金のみ、といったケースでは相続税は発生しないことになります。ただ、そうした場合でも「相続登記」はしなくてはならないので、注意が必要です。

 また、子供が知らないところで親が不動産を所有していたり、親戚の相続に由来する共有持分を持っていたりすることも考えられます。2026年2月2日施行予定の新制度『所有不動産記録証明制度』では、所有者の名前を検索キーにして不動産を所有していたかを全国的に調べられる制度です。この制度を活用すれば簡単に親の所有不動産が見つかる可能性が高くなります。制度の開始後は、積極的に活用して親が不動産を所有していたかを把握するように努めるといいでしょう。

 法務省は先月28日付で相続登記申請義務化に関するホームページをアップデートしています。心当たりのある方はご一読されることをお勧めします。
【ご参考リンク(法務省)「相続登記の申請義務化について」】
 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html#mokuji10

 ご不明のことがございましたら弊所でもご相談をお受けいたします。

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